映画『ひとりぼっちじゃない』2023年春

2023.02.28

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リコメンドコメント到着

■押井守(映画監督)
正直なところ舐めてました。
男女関係の縺れドロドロ文芸映画(失礼)かと思ったら、
大胆に、大股で、ズイと踏み込んだ本気の映画です。
冒頭三十分で背筋が伸び、やがて前のめりになり、
最後は腰が引けました。
一言で言えば不気味な映画なのですが
その不気味さは誇張されたホラーなそれでなく
人間という存在自体が本質的に抱えている不気味さであり
男と女という、どこまでいっても異質な人間が向き合うときに
齟齬とか行き違いとかの向こう側に見える不気味さなのです。
お若い方には判り難いかもしれませんが
恋愛とか情欲とかいうものは怖いものなのです。
そういう感情と無縁でいたい方はオンラインゲームでもしましょう。
いやあ、凄いもの見ちゃった。
伊藤ちひろ恐るべし。


■こがけん(芸人)
散りばめられたピースが像を結ばぬまま、いびつに謎めいた聖域を覗き見する感覚の2時間。
彼らが迷い込んだ袋小路のような日々に、若く孤独な〝あの頃〟の不安や不条理さが詰まっていた。

■アイナ・ジ・エンド(アーティスト)
自分自身の色が何色なのか、自分だと分からない。
透明。透明だから知りたくなる。
愛する人に自分の色を教えてもらえると、相手の色も知りたくなる。
もっと、わかりたくなる。
見なくていいものまで見てしまう。
そしてまた透明な自分に戻ってしまう。
それでも突き進んでいく中で微かに見えてくるものがある。
ひとりぼっちだと、気づけなかった色。

愛も孤独も重なって
人を愛することが怖くなった時に
この映画はきっと背中を撫でてくれます。


■MOROHA アフロ
表情、眼差しから放たれる不安が濃密に漂っていた。
わからないことばかりの日々に結論をつけて生きていく。
それが暫定の答えだとしても。

■エドモンド・ヨウ(映画監督)
とても面白い映画でした!伊藤監督はユニークなストーリーテリングと独特なビジュアル スタイルがあって、そしてエキセントリックなユーモアのセンスで映画を表現している。この映画は奇妙で、未解決の謎に満ちていて、マジカルリアリズムを使ってススメ先生の感情的な世界を非常に正確に捉えている。最初はラブストーリーに見えるが、実際はひとりの男が自分を愛することを学んでいく物語なのだ。


■洪相鉉(映画ジャーナリストㆍプチョン国際ファンタスティック映画祭日本映画アドバイザー)
井口理(King Gnu)の好演が気になって劇場に来ると、異次元のストーリーテリングを駆使する伊藤ちひろの神業が待っていた。
さらに宝くじに当たったような喜びをくれる馬場ふみかと河合優実のアンサンブルまで加わる。「配信など忘れよう。
大画面のミザンセーヌが目を引くピュアㆍシネマを見逃しちゃいけない」と世界の中心でさけびたい。

■北川れい子(映画評論家)
説明はどうでもいい。映像で観せろ。画面で語れ。
いや、「ひとりぼっちじゃない」は決してそんな傲慢で威圧的な作品ではないが、観葉植物の化身のような馬場ふみかに惑わされる若い歯科医の迷走は、虚実皮膜を鮮やか飛び越え、伊藤ちひろ監督のデビュー作、もう一目惚れ。
美術、装飾、音響、音楽の映像的一体感もただごとではない。そして何よりエロチック!


■さとうほなみ(女優)
一生懸命生きて、たっぷり好きで、どっぷりつらい。心地がいいはずなのに居心地が悪い。
ひとりぼっちじゃない事ってひどく残酷だなって思った時、この映画に愛着が湧いた。
伊藤監督から「さあ、こちらからは全部渡しました。あなたはどう生きる?」って言われてるみたいで…あぁ、だからか。終わったあと暫く考えちゃったのは。

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